在宅介護を始める3年前、息子介護の選択
在宅介護を始める3年前のことです。
この年の認定調査では、両親共に要支援1。
介護保険制度を利用して、両親の2人暮しをサポートする体制が組まれました。
私たち夫婦は、1か月に1回程度、土曜日と日曜日に実家へ帰省していました。
母の気管支喘息
両親の2人暮らしで、一番の課題は母の気管支喘息。
この頃、母は気管支喘息の発作を月1回の頻度で起こしていました。
発作が起こると、福祉タクシーを利用して3~4回の通院になります。
発作が起こると頭が混乱するようでした。
そのため、定時の薬の服用も心配。
母は自分の体調管理が難しくなっていました。
「なんか呼吸が苦しそうだからクリニックに行こうよ」と私。
「行く必要はない。私の身体は自分がよく知っている」と母。
説得に説得を重ねて無理やり連れて行くと、治療が必要な状態でした。
「このような状態になる前に来てください」とかかりつけ医のお医者さん。
母は、自分の体調を考えてクリニックに行く判断ができなくなっていました。
気候に合わせた服装も難しく、寒くても薄着をしていることがありました
両親のサポート体制
ケアマネージャーさんを中心に、自宅でサービス担当者会議が開催。
新たにヘルパーさんが毎週1回訪問するようになりました。
両親の体調確認、お風呂と洗面所の掃除、体操指導。
これらが主なサポート内容でした。
ゴミ出しは、父に代わって近所の有償ボランティアの方に依頼。
両親の老後に対する考え方
両親は、自分たちの老後は息子夫婦に看てもらうという考え方でした。
私が結婚したとき、両親は妻に「自分たちの老後をよろしく頼みます」。
私には兄弟姉妹がいませんので、我々夫婦は親の老後に関する覚悟はありました。
あまりにも直接的で妻はちょっとビックリ。
両親は介護施設の利用にはまったく否定的でした。
父は早期退職して、自身の親、つまり私の祖父母の面倒を看ました。
祖父は病院で亡くなりましたが、祖母は自宅で看取られました。
当然、息子の私にもそれを期待しています。
介護は、家族で抱え込まず、介護サービスや地域全体のサポートを利用する。
こういう考え方が、両親にありません。
時代が変遷する中で、考え方が時代に取り残されてしまいました。
これを修正することは不可能でしょう。
ずっと前から、老後について、両親とじっくり話をしておればよかった・・・。
我々夫婦は、この両親の意向を全て受け入れるつもりはありません。
しかし、考慮しないとうまく進んでいかないことは理解しています。
両親の呼び寄せ
片親が亡くなってから、残った親を自宅に呼び寄せる。
これが、私たち夫婦が漠然と考えていた将来設計でした。
自宅を購入してからずっと、和室六畳を親のために空けてきました。
父は現役時代にヘビースモーカー、母はいろいろな持病もち。
両親共に寿命は短いだろうと、私は勝手に思いこんでいました。
いい加減なものです。
ところが、両親共にいたって元気。
二人とも90歳前後となり、私の退職時期を迎えるに至りました。
ここまで元気でいてくれたことには、感謝、感謝です。
二人の生活は既に限界です。
「いつまで(両親を)放っておくのですか」
「いつ(自宅へ)連れて行くのですか」
母の気管支喘息の発作でかかりつけ医を受診すると言われる言葉。
親身になって言っていただいたものと思います・・・。
確かに、その通りの状況でした。
私の自宅は新興住宅地にあり、同じ世代の住民が集まっています。
御近所で、3家族が片親を呼び寄せました。
結局、自宅では看きれずに施設へ。
それぞれの事情を詳しくは知りませんが、親が幸せだったかどうか。
ある家族のお話では、親を虐待していると通報されてしまったそうです。
会社で認知症セミナーが開催されました。
専門家である講演者が、独り言のようにこう語ったのです。
「義母が徘徊し始めたのは、自宅に呼び寄せてからです」
「そのため、義母からできることを全て奪ってしまったからです」
親を呼び寄せるならば、元気なうちがいいと言います。
元気でも、環境変化によるストレスが認知症の引き金になるとも聞いています。
多くの専門家が、自宅に呼び寄せるデメリットはかなり大きいと指摘しています。
調べれば調べるほど、呼び寄せには慎重になってゆきました。
嫁・姑問題
私が両親の介護を考えるときに、嫁・姑の関係は外せない重要問題です。
私は、結婚当初から、嫁・姑の関係に気を使ってきました。
私の母は、舅・姑、つまり私の祖父母と最悪の仲でした。
私の幼少期、何度、母は私を連れて家を飛び出したことか。
ひどい祖父母だと思っていました。
ところが、段々と母のワガママも大きな要因だと分かってきたのです。
結婚してから、常に母を警戒し、配慮してきました。
私の自宅と実家が離れていたことがよかったのでしょう。
表面上、結婚以来30年間、母と妻はうまくやってきました。
しかし、同居したら、うまく行かないことは火を見るよりも明らか。
嫁・姑問題は二度と体験したくありませんでした。
息子介護の選択
以上のような状況から、結局、
自宅への「呼び寄せ」ではなく、
実家での「嫁介護」でもなく、
実家での「息子介護」を選択しました。
まとめてみますと、
1 両親は高齢である
2 両親は実家の中に居場所があり、役割があり、生活パターンがある
3 両親は実家のどこに何があるか分かっている(視力が弱い父には特に重要)
4 両親を慣れない場所に移すと、認知症を誘発・助長する恐れがある
5 私の定年退職か間近である
6 母と妻が同居すると、母と妻の役割が重複し、嫁・姑問題が顕在化する
おわりに
親のために空けておいた自宅の和室は不要となりました。
早々に私の書斎に改造。
もっと早く決断するべきでした。
部屋がもっと有効活用できたはずです。
問題は、息子介護をいつから始めるのか・・・。
定年退職まで2年余りになっていました。
(2018年3月2日)
